<北九州・山口地区>
北九州市立大学 前田譲治
恒例となりつつあります9月例会の開催を、本年度も、北九州市立大学でお引き受けし、10名強の先生方にご出席を頂きました。田吹香子先生には、「語りの闇を超えて ― The Things They Carried における語り手の希望の検証」のタイトルで、水島新太郎先生には、“Reading Masculinity in Jack Kerouac’s Letters” のタイトルで、各々ご発表を頂きました。比較的少人数の参加であったにもかかわらず、研究発表後には、例年になく長時間に渡る、熱のこもった活発な質疑応答が展開しました。私自身、発表はもとより、質疑応答からも多くを学ぶことができ、実りのある例会であったとの印象を持ちました。9月半ばの開催ということで、残暑が大変厳しい中、ご参加くださいました会員の皆様に、この場をお借りしまして、御礼申し上げます。
佐賀地区で事務局を引き受けてから早半年が過ぎようとしています。事務局長の早瀬博範先生は、大学での教育・研究や大学運営のお仕事に、九州アメリカ文学会のお仕事まで加わり、八面六臂のご活躍で、そのお忙しさたるや傍目で見ていても、お気の毒なくらいです。近頃は少々痩せられたような気さえします。会計の名本達也先生は、なかなか集まらない会費の徴収はもちろんのこと、会員の皆様への刊行物の発送など、これまた大忙しです。学生アルバイトの協力を頼んでおられるようですが、学生の都合やご機嫌を伺いながらのことで、ご苦労なさっているようです。それに対してニューズレター係の鈴木は、10月の英文学会九州支部大会シンポジウム・アメリカ部門の発表者の方や、地区委員の先生方に原稿を依頼し、それを纏めて編集する程度の仕事で、おまけに名本先生がご自分で発送までなさって下さるので、大いに楽をさせていただいています。このまま3年間、名本先生と会計の仕事を替わることなく、ニューズレター係を続けたい気分です。ただし現在のところ「地区便り」の原稿の集まり具合があまり芳しくないので、佐賀地区の地区委員として、自分宛に原稿を書いているところです。これも今まで地区委員としての仕事をさぼって、ニューズレター係の先生にご迷惑をかけてきた報いと考えております。
名本先生と私は現在佐賀大学で開講されております市民向けの公開講座「英語で読む物語――童話・昔話から現代小説まで――」に参加しています。当講座では佐賀大学の他の英語の先生方と一緒になって、アメリカ文学のみならず、イギリス文学や童話、エッセーなど、種々の読み物を採り上げています。普段なかなか英語の原文で文学などに接する機会のない一般の方々が、少しでもアメリカ文学に親しむきっかけとなってくれればと考えております。名本先生は Erskine Caldwell の“Rachel”を、私は Nathaniel Hawthorne の“The Ambitious Guest”を読んでいます。もう7,8年も前に卒業した学生が、昔を懐かしんで戻ってきてくれるなど、我々のやってきたこともあながち無駄ではなかったとの思いがして、何ともありがたく、また嬉しいかぎりです。
<熊本地区>
熊本アメリカ文学研究会 活動報告
熊本大学 永尾悟
熊本アメリカ文学研究会の2007年度後半の発表題目(2回分)を、熊本地区の活動状況として報告致します。
<2007年度後半の発表題目(2回分)>
・第89回(2007年7月14日) <熊本大学 大学教育センター2階>
題 目: 「John SteinbeckのThe Red Pony―“The Leader of the
People”を中心に」
発表者: 馬渡美幸 (熊本大学・非常勤講師)
司会者: 池田 志郎 (熊本大学)
・第90回(2007年9月15日) <熊本大学 大学教育センター2階>
題 目: 「Ring Lardnerの作品について」
発表者: 荒木 栄司 (作家)
司会者: 中島 最吉 (熊大名誉教授)
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* 熊本地区の世話人、及び事務担当は下記の通りです。
世 話 人: 池田 志郎 (熊本大学)
田口 誠一 (尚絅大学)
事務担当: 楠元 実子 (熊本電波高専)
<大分地区>
大分工業高等専門学校 大木正明
大分大学で非常勤をしておりますことから、同大学勤務で地区委員をしていらっしゃいます雲和子先生より依頼を受け、近況の御報告をすることとなりました。
皆さんも御存知のように、大分県という地区は自然豊かな場所として知られていますが、高速道路が整備されたとはいえ九重連山などの山々に囲まれ、九州内では他地域との交流をし難い環境にある印象を受けます。
ところが国際交流については、戦国時代のキリシタン大名・大友宗麟(おおともそうりん)が大分を国際都市として発展させようと、盛んに外国との交流を奨励してきた県でもあり、近年では、アメリカとの交流について、1985年に別府市がボーモンド市と、1990年に大分市がオースチン市と、そして2003年には佐伯市がホノルル市と友好関係を結んでおり、大学などでも他に類を見ない留学生数を誇るアジア太平洋立命館大学が設立された県でもあります。
こうした環境の中、私もアメリカ文学を専門分野とする教員として九年前に大分工業高等専門学校に赴任したわけですが、工学を学ぶ学生たちへの実務的な指導および地域的傾向も手伝ってか、特に九州アメリカ文学会を中心とする文学関係の学会活動に参加する機会も少なくなってしまいました。
そんな折、母校、佐賀大学で先日、早瀬博範ゼミの大学生および大学院生による卒論および修論の中間発表会に招待され、あらためて母校への強い思い、学生たちの新鮮な感性、そして文学という人間の内側へと深く切り込んでいく学問分野の重要性を痛感する貴重な体験をして参りました。特に印象的だったのは、ポール・オースターを研究テーマにしていらっしゃる学生さんが作者の芸術性に触れた「ボーダーレスな世界」への言及で、敷衍して考えると、これはまさに九州内の各県の関係や世界の実情、あるいは文学研究や英語教育そのものであり、根底に流れるものは全て同じで、ある意味、ボーダーを引いては消すという日々の作業の中、我々英語教員もまたアメリカ文学をとおして揺れながら悪戦苦闘する存在なのだということを思い知らされた次第です。
なお僭越ではございますが、これまで地区便りのなかで二度にわたり紹介を受けました拙書『映画講義』(海鳥社)シリーズについて、今年の十月に『愛と正義の西海岸映画講義 ロサンゼルス編』の出版を持ちまして完結の運びとなりました。最後になりますが、今まで御支援いただき、また見守り続けて下さった早瀬先生および雲先生をはじめとする様々な方々に心より厚く御礼申し上げます。
<鹿児島地区>
鹿児島大学 千葉義也
今年も地区便りを書かなければならない季節となったが、わが地区にとって森孝晴(鹿児島国際大学)教授の話題は欠かせない。今年も中央英米文学会編『問い直す異文化理解』(松柏社)に、「ジャック・ロンドンと椋鳩十―椋はロンドンの『戦争』も読んだ」という論文を執筆している。この論の内容は椋鳩十氏がジャック・ロンドンの短編「戦争」から影響を受けているのではないかというものである。椋氏といえば反戦小説と言われることの多い「マヤの一生」で有名だが、そこにはひょっとすると何かつながりがあるかもしれないと森さんは目を付けたのだ。なかなか洞察の利いた玉稿と言っていい。このほかにも、森さんは『呼び声』(日本ジャック・ロンドン協会ニューズレター)の編集者としても活躍中で、今年もNo. 27、No. 28のニューズレターを発行した。両号とも冒頭が辻井栄滋会長の挨拶で飾られていてなかなか興味深い内容となっている。ロンドン協会のますますの発展を祈る。
また、私の所属する日本ヘミングウェイ協会は6編の論文に、書誌が付された学術誌『ヘミングウェイ研究』第8号を出版した。以下に目次のみを紹介しておく。
■中垣恒太郎「ヘミングウェイのイタリア体験とナショナル・アイデンティティ」
■長谷川裕一「『スペイン』を巡る『物語』―Kenと“The Old Man at the Bridge”を中心に」
■塚田幸光「ナルシスティック/シネマティック・ゲルニカ・ヘミングウェイ、イヴェンス、『スペインの大地』」
■村上東「ふたつの大きな物語の狭間で―冷戦期に到るヘミングウェイの軌跡」
■Huang Jun「Ernest Hemingway’s Conflict between a Novelist and a Journalist: His China Dispatches and the Chinese Responses」
■杉本香織「Islands in the Stream の"Bimini"セクションにおける Auto/Biography創造への試み―Charles Scribner, Jr.らによる編纂の問題点」
■千葉義也 編「書誌:日本におけるヘミングウェイ研究―2006」
■千葉義也・新関芳生「あとがき」
最後になったが、10月13日、広島経済大学で開催された第46回日本アメリカ文学会で竹内勝徳氏(鹿児島大学)が「アメリカン・ダイアレクティクスの行方―DonatelloとBilly Buddを焦点に」と題する研究発表を行ったことを記しておく。司会があったため、発表を聞くことは出来なかったが、近く論文となって結実することを切に望む。 以上
<沖縄地区>
琉球大学 平良柾史
沖縄地区では、もうかれこれ10数年前に「沖縄アメリカ文学会」を立ち上げ、定期的に研究会などを開催してきましたが、ここ数年同会は開店休業の状態が続いています。この度、当会の山里勝己氏(琉球大学教授)が九州アメリカ文学会会長に就任したのを機に、長い冬眠の殻を破り活動を再開したいものと会長ともども思案しているところです。沖縄地区にはすでに退官なされた先生方を含めて10名余の会員がいますので何かまとまったことが出来るのではないかと思います。もちろん、沖縄には他にも、「沖縄外国文学会」(大学教員を中心に会員192名)、そして琉球大学には「琉大アメリカ研究会」があり、当地区各会員もそのジャーナルに論文を発表するとともに年次大会において研究発表をするなど活発に研究活動をしていることは周知の通りです。
さて沖縄地区の近況報告ですが、6月30日に沖縄国際大学にて「現代アメリカ黒人文学シンポジウム」が開催されました。当地区会員の追立祐嗣氏(沖縄国際大学教授)が企画立案し、同大学の総合文化学部英米言語文化学科が主催をして、広く一般に公開されたシンポジウムでした。追立氏は来年以降もこのような企画を継続していきたいとのことです。以下はそのプログラムです。
・
Keith Byerman (Indiana University)
「Ordinary Citizens and the Civil Rights Movement」
・
Wilfred D. Samuels (University of Utah)
「Not for Speculation: The Value of Olaudah Equiano and His
InterestingNarrative of the Life of Olaudah Equiano, Or Gustavus Vassa, The African, Written by
Himself 」
・ Yoshinobu Hakutani (Kent
State University)
「The Genesis of Chicago Renaissance: The Wright-Dreiser
Connection」
総合司会:追立祐嗣(沖縄国際大学)
発表者の紹介:木内徹(日本大学)
通訳(質疑応答に関してのみ):山本伸(四日市大学)
また琉球大学では、毎年アメリカよりフルブライト招聘教授を受け入れておりますが、先生方には授業以外にも折にふれスタッフセミナーや講演などをお願いしています。この前期(8月)までおられたミシガン州立大学教授の Haeja Kim Chung 先生はアメリカ人作家 Harriette Simpson Arnow の研究者ですが、先生は滞在中に沖縄がすっかり好きになり8月の離任を前に「A Postcard From Okinawa: “Okinawa ga suki desu”」の講演を置き土産に8月初旬に離沖しました。後期(10月)からはノース・テキサス大学のConstance Hilliard 教授が1年間の予定で赴任していますが、先生は歴史学、特にアメリカ黒人史が御専門で、アメリカ黒人文学やマイノリティー文学にも造詣の深い方です。先生には早速12月の「琉大アメリカ研究会」の年次大会において「Unity or Diversity: America’s Culture Wars」と題して特別講演をやってもらうことになっています。
最後になりましたが、当地区会員の喜納育江氏(琉球大学准教授)がこの10月より1年間の予定でフルブライト研究員としてカリフォルニア大学バークレイ校にて在外研修中であることを申し添えまして、沖縄地区の近況報告といたします。
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