NewsLetter


スタインベックの"Salad Bowl"

熊本学園大学 中山喜代市

 John Steinbeckが生まれ育ったカリフォルニア州サリーナス・ヴァレーは "The Salad Bowl of the World"と呼ばれていて、彼の諸作品にはカリフォルニア的で、多人種的、多文化社会的特色の濃厚なものが多い。処女作"Fingers of Cloud" (1924)では、母親と死別して自由の身になった18歳の白人女性Gertieと結婚するフィリピン人労働者Pedroが描かれる。しかしやがてGertieは、Pedroの汗に濡れた背中の黒い皮膚に嫌悪感を露わにし、さらにフィリピン人たちが迷信から馬の頭を水槽に保存しているのを見つけ、とうとう離別する。この作品では人種的偏見と異文化間における相互理解問題が前景化されている。
  "How Edith McGillcuddy Met R. L. Stevenson" (1941)では、白人で「善良派」に属する少女Edithとヒスパニック系で「邪悪派」階層の少女SusyとLizzieが描かれ、EdithがLizzieに導かれて初めてStevensonと会うことにな
る。いっぽう、The Wayward Bus (1947)では、ヒスパニックのJuan Chicoyは "The Saved or Elect"として描かれている。
 Travels with Charley in Search of America (1961)やAmerica and Americans (1966) によれば、Steinbeckの "salad bowl" の中身は、アメリカ合衆国のモットー "E Pluribus Unum" と同じく "melting pot"的であるが、今日的にはアメリカ社会は、 "mosaic"あるいは "salad bowl"的とみる必要があるだろう。