NewsLetter

九州アメリカ文学会第52回大会報告

大会担当 大島由起子

 九州アメリカ文学会第52回大会は、去る5月13日(土)、14日(日)の両日、九州大学において開催されました。九州大学の小谷耕二先生、高橋勤先生、中村嘉雄先生をはじめといたしまして、ご参加いただきました発表者、ならびに司会役を快くお引き受け下さいました諸先生方に、心よりお礼申し上げます。
 今回は、青山学院大学の富山太佳夫先生を招聘し、「文学の研究と教育――イエール学派はどう対処した
か」という特別講演を賜りました。しかも、昨今のわれわれの切迫感を伴った興味を反映しての、異例のこちらからタイトル指定とのことでした。これまでのご自身の研究歴が現代批評の隆盛期と重なるということから生まれた歴史的使命感が伝わってくる、力のこもったご講演でした。現代批評の隆盛が一段落ついた今、役目を果たした現代批評にたいして礼節と敬意をもって遇するべきであるというお言葉には、人に対するのと変わらぬ愛着を感じもいたしました。私のような、批評に追いつくのにアップアップしているような輩には、まだ批判したり愛着を抱くどころの余裕はありませんが・・・これから努力しようという決意を新たにいたしました。
 シンポジウムは、「ソール・ベローを語る――短編・中編を手がかりに」についてでした。司会もお勤めくださった半田拓也先生をはじめ、講師の青山学院大学の佐川和茂先生、そして池田肇子先生、村田希巳子先生に、深謝申し上げます。今年3月の役員会でベローについてのシンポジウムと決定した段では、九州にはベロー研究者が多いからという理由くらいだったはずでしたが、奇しくも翌月、4月6日にベローが亡くなったことで、学問的に資するところ大であっただけでなく、非常にトピカルなシンポジウムとなりました。
 特筆すべきは、特別フォーラム"Transpacific Traces in American Literature" です。本学会の50周年大会では学会企画のフォーラムがございましたが、発表者からありがたいご発案いただいたことは、今回が空前のことでした。絶後にならないように祈るばかりです。司会、ご発表もいただきましたC. S. Schreiner先生からのご発案で、Scott Pugh先生、慶応義塾大学の巽孝之先生に、ご発表いただきました。どうやらイギリス文学研究者の非会員までが会場をうめ尽くさんばかりに詰め掛けてくださいました。
 さて、早いもので、私はかれこれ計5回、本大会の係をさせていただきました。まことに僭越ながら、個人発表希望者が多くて困り、発表者を決定するために苦しい選考をするというのが学会運営のあるべき姿だと存じま
す。昨今のように文学の研究・教育がしづらいご時世であればなおのこと、大会を(孤独に?)研鑽を積んだことを世に問うための貴重な切磋琢磨の場としていただきたいと願います。 次回から、大会担当は早瀬博範先生に替わります。来年も九州アメリカ文学会の大会が5月上旬に、今年同様に九州大学で開催されます。研究発表を例年通り募集いたします。詳しくは同NEWSLETTERの募集要項をご参考のうえ、どしどしご応募ください。地区委員をはじめ先生方には、自薦他薦を問いませんので、これまで以上の、ご協力のほどを切にお願い申し上げます。