NewsLetter


社会的言説としてのdisability/ability

福岡大学  秋好 礼子

  人工授精やゲノム分析など、今日までの医学・科学の進歩の中で、人種や性別といった、これまでアイデンティティーの基盤とされていた要素の定義が実証的に曖昧になっている。しかし実際は、人種が入れ替わることはなく、性転換は他人事ととらえられがちである。一方、身体的な障害に関しては、人間誰しもいつもその可能性を持って生きており、誰にとっても非常に身近な問題である。にもかかわらず、人種やジェンダーの問題と比べ て、まだこれから議論されるべきテーマと言える。 本発表では、P. T. BarnumのAmerican Museumを例に挙げ、身体的差異を持つ者が他者として演出された背景を見つつ、Rebecca Harding DavisのLife in the Iron Mills (1861)を取り上げ、身体表象が階級やジェンダーといった要素とどう関係しているかを考察した。
  また、本作品には、masculine, white, nondisabled, middle class を規範的アメリカ人とする社会的ヒエラルキーが垣間見られると同時に、disabilityという概念がいかに不確かなものかということを再考させる構図が見られることを論じた。